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就労継続支援A型の設備基準|あわせて消防法・建築基準法も解説

就労継続支援A型の設備基準|あわせて消防法・建築基準法も解説

更新日:2022年6月21日

この記事は2022年4月時点の情報で作成しています

就労継続支援A型で使用する物件や設備には「設備基準」があります。建築基準法・消防法なども関係する重要なルールです。特に開業時は物件の選び直しや予定外の改修工事を避けるために、物件の契約前に設備基準の基本を学んでおきましょう。

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    目次

    就労継続支援A型の設備基準とは?

    障害者総合支援法に基づいた、就労継続支援A型事業所に必要な設備に関する規定が「設備基準」です。設備基準の詳細は厚生労働省の省令をもとに指定権者(※)が定めています。指定権者によっては設備基準の他にも追加ルールが存在します。

    また就労継続支援A型事業所を開業・運営するには建築や消防などの法令、自治体の条例などを満たす必要があります。

    開業だけでなく移転でも該当するので、いずれの場合も早めに内容を確認して手続きや改修工事などのスケジュールを組みましょう。また指定権者による実地指導時のチェック対象でもあるため、常に基準を守り続けることが重要です。

    ※ 障害福祉サービスの指定権限を持つ自治体。都道府県、政令指定都市、中核市など

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    具体的な設備基準の内容

    基準で定められている設備

    設備基準では以下が必要とされています。

    就労継続支援A型事業所の設備基準

    訓練・作業室

    作業(生産活動)やスキル向上のトレーニングなどをおこなうスペースです。「利用定員1人あたり3平方メートル以上」のように面積を定めている地域も多くあります。

    この場合、たとえば定員が10人なら30平方メートル以上の面積が必要です。最近は在宅支援を実施する事業所も増えていますが、その場合も上記の設備基準が適用されます。

    なお訓練・作業室について設備基準上は「支援に支障がなければ設けないこともできる」とありますが、基本的に作業の場は必須と考えましょう。

    多目的室

    利用者の食事や談話などのスペースです。利用者の支援に支障がなければ相談室と兼用ができます。具体的な面積を定めている指定権者もあります。

    相談室

    利用者との個別面談などに使うスペースです。プライバシーを守るため、間仕切りなどで話し声が外に漏れないような対策が必要です。また指定権者によっては、声だけでなく視線も遮ること、間仕切りではなく個室にすることが求められます。

    洗面所・トイレ

    洗面所とトイレは、いずれも利用者の特性に応じた設備や環境が必要です。トイレを男女別あるいは女性用とオールジェンダー用(男女共用)など2つ以上設けるよう要請されるケース、感染症予防の観点から、洗面所とトイレを分けるよう定めているケースも多数あります。

    またバリアフリー法上ではトイレを含む事業所設備のバリアフリー化の努力義務(2,000平方メートル以上の場合は義務)があり、地域によっては条例などでバリアフリーに関する追加の基準や義務が定められています。

    その他の設備

    多くの指定権者では個人情報を管理する鍵付き戸棚や書庫、事務室などの設置が求められます。またベッドや静養室が必要な指定権者もあります。「身体障害のある利用者がメインならエレベーターが必要」のように障害種別が関わることもあります。

    設備基準以外の守るべきルールとは?

    就労継続A型事業所の物件・設備には、設備基準以外にも守るべきルールが存在します。ここではその代表である「建築基準法」と「消防法」を取り上げます。

    実際には物件ごとの事情や地域ごとの運用の違い、条例など地域のルールがあるので、開業や移転の際には必ず指定権者のWebサイトや事前相談、集団説明会で確認してください。

    建築基準法によるもの

    就労継続支援A型事業所として物件を使用するために「建築物の確認申請」が必要なケースがあります。指定申請までに所定の検査に合格しなければならず、物件の状況によっては合格するための工事などで時間と費用がかかります。

    確認申請については、必ず物件契約前に自治体の担当窓口(建築指導課など)で相談や確認をしておきましょう。

    確認申請が必要なケース

    1. 建物を新築・増改築した場合
    2. すでにある建物に入居する場合で、その部分の床面積が合計200平方メートル以上、かつ現状の物件の用途が「児童福祉施設等」以外の場合(用途変更の確認申請)

    使用したい物件が定まってきたら、確認申請の担当窓口に必要な手続きとスケジュールを問い合わせましょう。

    なお200平方メートル以下の物件は用途変更の確認申請が不要ですが、当然建築基準法などの法令を遵守しなければなりません。また指定権者によっては、自治体や検査機関、建築士などが適法な建物であることを示した書類がないと指定が受けられません。

    消防法によるもの

    火災に備えた消火設備などのルールを定めているのが消防法です。事業所として使用する部分だけでなく、入居する建物全体に必要な設備もあります。要件を満たしていない物件の場合、使用できる状態にするには設備投資や準備期間が発生してしまいます。物件を契約する前に、手続きや追加が必要な設備などについて所管の消防署に相談しましょう。

    設備

    就労継続支援A型事業所は消防法で「6項ハ(障害者施設)」と区分されます。この区分に従って備えるべき設備が定められており、指定申請までに所定の検査に合格する必要があります。

    ● 消防関連設備の例

    ・消火器
    ・自動火災報知設備
    ・消防機関への火災通報装置
    ・屋内消火栓設備
    ・スプリンクラー設備
    ・避難器具  など

    上の項目は消防関連設備の代表例です。どのような設備が必要かは、事業所として使用するスペースや入居する建物の面積・構造、入居階数など複数の条件によって決まります。

    防火対象物使用開始届

    事業所の開業・移転に伴って新しく物件を使用するときは「防火対象物使用開始届」の提出と検査の合格が必要です。

    その他のルール

    建築基準法や消防法以外に、都市計画法や自治体の条例(バリアフリー、景観、災害対策など)などが関係する場合もあります。また感染症対策についてルールが設けられているケースもあります。

    事業内容に応じた設備について

    就労継続支援A型事業所の場合、指定事業として求められる設備だけでなく生産活動として営む事業(飲食・製造加工など)の要件も忘れずに満たしましょう。

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    まとめ

    就労継続支援A型事業所には設備基準をはじめ、物件や設備に関するルールが多数あります。特に建物の構造や消防設備など物件そのものに関する項目は、物件の契約前に指定権者、消防署、建築指導課などへ相談しましょう。

    また設備面だけでなく人員基準や運営基準も満たす必要があります。併せて確認しておきましょう。

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※ 本記事はすべての関連情報や指定権者ごとの解釈を網羅するものではありません。記事の内容には万全を期しておりますが、実務においては必ずご自身でも指定権者をはじめとする関係行政や国保連などの最新情報をご確認ください。

監修:高橋 悠

ウェルフェア社会保険労務士法人 代表社員
社会保険労務士 / 行政書士

福祉業界に特化した労務やコンプライアンスの支援サービスをおこなう。
著書に『改訂版 就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)事業所運営・管理ハンドブック』『障害福祉サービス事業所の処遇改善加算・特定処遇改善加算実務ハンドブック』など。

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執筆:LITALICO仕事ナビ編集部

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